私の寿命





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今日も私は、カレンダーに×をつける。



きっと多くの魔法使いや魔女たちが同じ思いをしていることだろう。

自分たちの寿命はどれほど長いものなのだろうか。




そう思う多くの人たちは、まず自分がいつ生まれたのか分からない。

大方の記憶を失う幼少期が、一体どれほどの時間だったのかはっきりと分からないからだ。

そして、ある一定の時が過ぎると、私たちの身体の成長は子どもの時よりもぐっと遅くなる。




だからきっと、私がこのカレンダーに×をつけても、大体の寿命の長さでさえ分かることもできないだろう。

ただこれは、私の命があとどれくらいなのかを計るためだった。




しるしをつけ始めたのは、たった一人愛する彼が、私よりも先に天に昇ってしまってから。

89歳だった。

人の中では大往生といえるのだろう。




でも私は、17歳の彼と出会ってから別れるまで、髪の毛が15cmほどしか伸びていない。

爪も4回切ったぐらいだろうか?



皺もないつるつるの私の肌を撫でる彼の手に、どんどん深い皺が刻まれていく。



彼の中だけで、時間の流れが狂ってしまっているみたいだった。

狂っているのは私の方なのに。





人を好きになれば、かならず訪れるのはその人の残した影と孤独だけだ。


彼が私の元からいなくなってから、カレンダーについたしるしは24056こ。



一瞬の幸せのために、私は一生の孤独を掴むことになった。



今でも彼の姿も、彼の声も、髪の毛の柔らかさや肌の温かさまで、全部、全部覚えている。

私は彼の思い出だけを抱きしめながら、カレンダーに×をつける。



はやくはやく。

もう一度彼の元に行けるように。






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