※ヘンタイ的な文章?
ちょっと狂った感じのアカリさんがみたい方はどうぞ。
密室の中でずっと、息を押し殺していると、おかしくなりそうになる。
自分の細胞のひとつひとつが、押しつぶされて、
ぶちぶちと身体から離れていくような心元なさが、いつも胸にぴたりと張りついている。
いつかきっと、何億個という細胞が私という媒体を離れて、空気に溶け込んで、
しゅわしゅわと私は空気の一部になるのではないかと、そんな想像をする。
ああ、でもそうなったらいいな。そうしたら私は外に出ることができる。
まぶしい太陽の光を浴びて、水の冷たさに触れることもできるだろう。
そして何より、私はやっとチハヤの中に入り込むことができる。
彼がそれを望んでやまなくて、私を閉じ込めてしまったように、
私自身、彼の一部になることを望んでいるのだから。
チハヤは最初に、私の靴を隠した。
僕以外見ないで、聞かないで。
そう言って彼は、私の目を目隠しで多い、耳は手で押さえられた。
外に行かないように、僕以外アカリに触れないように。
そう言ってチハヤは、私の服を焼いた。
黙って動物たちを売りにいき、畑をつぶして、私の仕事をひとつ、またひとつと奪っていった。
もう外に出ないでいいんだよ。
そう言った時の彼の顔は、優しく穏やかだった。
彼は、もう日焼けすることができず、白くおびえている私の肌をうっとりとした瞳で、
そっと撫でながら、なだめるように、手の甲に唇を落とした。
チハヤはやがて、私の家を売ると、自分の家の小さな部屋に私をずっと閉じ込めておくようになった。
私は、宝箱の中に入った宝石のように、部屋の中で息を押し殺して、
ただそこで、チハヤが部屋に訪れるのを待っていた。
窓も照明もないその部屋は、私の感覚を麻痺させた。
今がいつで、今日が何曜日なのかは、とうの昔に数えるのをやめてしまったし、
光も音もない世界は、私の聴力と視覚をどんどん鈍らせていった。
けれどそんなことはどうでもよかった。
私には、チハヤの顔を見て、チハヤの声を聞き、彼の作った料理を舌の上で転がし、
彼の手に包まれることだけが、幸せで、そのためだけに、ここでうずくまっているのだ。
私は、薄い空気の中でゆっくりと呼吸をする。
ばらばらになりそうな細胞を必死にとどめながら、待っている。
ただ、彼がそのドアを開いて、私の名前を呼んでくれることを。
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